第135回生誕記念日祝賀会パンフレット
ラーマクリシュナ・ミッション設立の経緯
スワミ・ヴィヴェーカーナンダは霊的な奉仕から物質的な奉仕に至る、あらゆるレベルにおける奉仕――僧も信者も一般大衆も協力できる奉仕――のための組織を発足させる意図をもっていた。そこで彼は全僧院とシュリ・ラーマクリシュナの家住の弟子たちの会議を招集した。会議は1897年5月1日土曜日午後3時に、カルカッタのバララーム・バーブの家で行われた。全員が集まったところで、スワミのベンガル語による次の言葉で、会議は始まった。
私があちこちの国を旅して得た結論は、組織なしでは、何か大きなこととか永続性のあることはできないということです。だが、インドのような国において、現在の発展段階にあっては、民主主義を基盤にした組織を作るように奨励するのがいいことだとは私には思えない。つまり、全員が平等の発言権を有し、多数者の投票で決定に至るという方式のことです。西洋では事情が違います。……私たちでも、教育が普及して、自己犠牲や個人の利害関心を越えることを学んで、共同体や国民一般のためになることをするようになれば、民主主義的基盤で行動することが可能になるでしょう。この点を考慮に入れて、当面は私たちの組織に議長を置き、皆がその人の指示に従うということにしようではありませんか。そして、機が熟すれば、組織のメンバーの意見と同意によって運営されるようになってゆくでしょう。
この組織は、その人の名において私たちがサニャーシンになったお方の名前を帯びることになりましょう。このお方を諸君の理想として掲げ、家住者としての生を諸君はこのサンサーラ(この世)という活動の場で送っておられる。このお方の聖なる御名、それにこのお方の独自の生き方と教えとは、このお方が亡くなられてから12年も経たない間に、思いもかけない形で東西両洋に拡がっていったことは皆さんも御承知の通りです。従って、このサンガ(僧伽=組織)をラーマクリシュナ・ミッションと名づけようではありませんか。私たちは師のただの従僕にすぎません。皆さん、どうかこの仕事のために手を貸して下さい!
この提案はすべての家住の弟子たちによって熱狂的に支持された。将来の行動計画が論議された。この5月1日の会議において、ラーマクリシュナ・ミッション・アソシエーションは設立された。そして5月5日の第2回会議で、運動運営の主原則と運動の目的・対象を起草する決議案が可決された。オリジナル草案は下記のごとくである。
本組織(サンガ)をラーマクリシュナ・ミッションと命名する。
このサンガの目的は、ラーマクリシュナが人類の福利を願って説き、かつ自身の生活に応用して証明した真理を伝道すること、および、人々が時間的に、精神的に、霊的に前進してゆくためにこれらの真理を生活の中で実践してゆくのを助けること、である。
本ミッションの任務は、シュリ・ラーマクリシュナによって始められた運動の諸活動を忠実に遂行することである。その目的は、異なる宗教の信者すべての間に友交関係を確立し、それらの人々に、様々な宗教の形態はあるけれども、一つだけ不死で「永遠の宗教」があることを知らしめることである。
行動計画
(a)人々を訓練して他の人々を教導する能力を与え、大衆の物質的・霊的福利に資する知識や学問を伝える
(b)諸々の技芸および産業の促進と奨励
(c)一般大衆の間にヴェーダーンタおよび他の宗教の理念を紹介し普及させ、その過程でシュリ・ラーマクリシュナの生涯についての理解を図る
インド作業部
本ミッションの活動はインド各地のマート(僧団)とアーシュラマ(道場)の建設に向けらられる。それらはサニャーシンと家住者の訓練に充てられる。家住者は、州から州へと移動しながらほかの人々の教育と、その教育を可能ならしめる資金や手段を確保することに喜んで生涯を捧げるような人が望まれる。
外国部
訓練された教団のメンバーをインド以外の諸国に派遣し、その地にセンターを設立してヴェーダーンタの教えを拡め、もってインドと諸外国との間の緊密な関係とよき相互理解をもたらす。
本ミッションの目的と理想とは純粋に霊的・人道的であって、政治とはいかなる関係も持つことはない。
シュリ・ラーマクリシュナの使命を信じ、あるいは本協会の上記の諸目的と対象に共感し、あるいは協力を望まれる人は、会員に推挙される資格を有する。