第135回生誕記念日祝賀会パンフレット
スワミ・ヴィヴェーカーナンダについて
世界の思想家たちが語ったこと
インドを知りたいと思われるなら、ヴィヴェーカーナンダを研究なさい。彼の中では一切が積極的で、消極的なものは一つもありません。
― ラビンドラナート・タゴールからロマン・ローランへ
私はここ(ベルル僧院)に、今日(1921年2月6日)皆さんがその誕生日を祝っている、スワミ・ヴィヴェーカーナンダの尊い記憶に敬意を表するために、やってきた。私は彼の著作を全部、熟読した。そして読み終わった後、私がわが国に対して抱いていた愛情は、千倍も深くなったのである。私は君たち、若い人々にお願いする、スワミ・ヴィヴェーカーナンダが生きて死んだこの場所の精神から何ものかを吸収せず、空手で帰るようなことはしないで下さい。
― マハトマ・ガンディー
今日、若い人びとがどれほど、スワミ・ヴィヴェーカーナンダのスピーチや書いたものを読んでいるか、私は知らない。しかし、このことは言うことができる――私の世代の者たちは実に強力に彼の影響を受けた。そして私は思うのだが、いまの世代の人びとも彼のスピーチや書いたものを読んだなら、非常に彼らのためになり、彼らはそこから多くのことを学ぶだろう。それによって、われわれの何人かがしたように、スワミ・ヴィヴェーカーナンダの頭脳とハートの内に燃えさかり、ついに彼を若さの中で燃えつきさせたあの火の、片鱗をかいま見ることができるだろう。彼のハートの内には火が燃えていたのだ。雄弁な、心を高める言葉としてほとばしりでた、偉大なる人格の火である。それは空しいおしゃべりではない、彼は自分の発する一語一語に心魂をこめていたのである。
皆さんがスワミ・ヴィヴェーカーナンダの書いたものやスピーチを読まれるなら必ず気づかれるであろう不思議な事実は、それが古くさくない、ということである。それは何十年も前に語られたものだ。それなのに今日もなお新鮮であるのは、彼が書いたり語ったりした言葉が、われわれの問題や世界の問題の、根本に触れたものだったからである。それゆえ、古くはならないのだ。皆さんがいま読んでも、それらは生き生きとしている。
― ジャワハルラル・ネールー
ベートーヴェンのスタイルを思わせる章句、ヘンデルのオラトリオの合唱曲の中の行進曲のような、心をゆるがすリズム、彼の言葉は偉大な音楽である。私は全身に電流の衝撃をうけたようなスリルを感じることなしには、30年の昔に書物のページにちりばめられた彼のこれらの言葉に、触れることはできない。それらが燃えさかる言葉としてこの英雄の唇から出たときには、どれほどの衝撃、どれほどの感動を生み出したことか!
― ロマン・ローラン
前略 過般来当地に参り、ヴィヴェーカーナンダ師に面会致し候。師は気魄学識超絶抜群、一代の名士と相見え、五天到るところ師を敬慕せざるはなし。而して、師は大乗をもつて小乗に先んずるものと論じ、目下印度教は仏教より伝承せらるることを説き、釈尊をもつて印度未曾有の教主となせり。
師はまた英語をよくし、泰西最近の学理にも通じ、東西を綜合して不二宗門を説破す。議論風発、古大論師の面目あり。実に得難き人物と存じ候。出来得べくんば、小生帰朝の際同伴致すべき考へに候。
― 岡倉天心