抜粋ラーマクリシュナの福音

第二章 パンディットイシュワラ・チャンドラ・ヴィッダシャーゴル訪問(一八八二年)

第一節 師はサマーディに。ヴィッダシャーゴル、バヴァナート、M、ハズラーおよびその他大勢

  

 師は非常に、パンディット・イシュワラ・チャンドラ・ヴィッダシャーゴルに会いたがっていらっしゃった。ある日彼は弟子たちとともに馬車に乗って、ドクシネシュワルからはるばる六マイルの道を、パンディット(学者)に会うために、カルカッタの一地区バドゥルバガンにある彼の家をお訪ねになった。それは一八八二年八月五日土曜日、《スラヴァナ月(ベンガル暦四月)暗い二週間の第七日》午後五時頃だった。

 馬車はパンディットの家の入口の前にとまり、師はMに支えられてお降りになった。客間兼用のパンディットの書斎に通じる階段の下までくると、師はちょっと心配そうに、Mにおっしゃった、「さて、お前、私は上衣のボタンをとめるべきだと思うか」

 Mは答えた、「おお、そんなことをご心配なさいますな、主よ。そういうたぐいの事は、いささかもあなたを拘束いたしません」

 師は子供のように、それで安心なさったようだった。それ以上このことはまったく気におとめにならなかった。彼は五歳の子供のようにすなおでいらっしゃった!

 一行はそれから二階に上り、踊り場につづく南むきの一室に通された。この部屋にパンディットは、南をむいて椅子にすわっていた。彼のいつもの書物や書類の散らばっているヨーロッパ風のテーブルが前にあった。

 Mはそこで師の到着をつげて彼をパンディットにひき合わせ、パンディットは彼を迎えて立った。師は片手をテーブルにおき、西に面してお立ちになった。彼は黙ってパンディットをごらんになった。しかしその甘美な、光り輝く、子供のような顔は笑みくずれていた。

 そこにはパンディットの友だちや生徒たちを含む何人かが集まっていた。その中の一人は、パンディットが創立者であり所有者である学校の一つの給費生として入ることを請願にきた若者だった。............


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