NIPPON VEDANTA KYOKAI
Vedanta Society of Japan |
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不滅の言葉 1965年1号
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新年の言葉
木村日紀 新たなる年を迎え、私も国民及び全人類と共に喜ぶ一人です、天地自然は新年という活動の「場」と「時」とを人類に与えた、よって吾人は大々的活躍を開始すべきである、然し天地自然は同時に新たなる年という「時の流」を示して死に近づくことを警めている。よって吾人は精神修養を怠ってはならぬ、全印統一の帝王はアソカ大王であるが、その祖父チャンドラ・グプタは西暦前三二六年に印度へ侵入した亜歴山大王と知己となり、同大王の西帰後、其版図をも統一しマウリヤ王朝を創立した。然しその背景にあってグプタ王を指導し援助した大偉人はカウチリヤという婆羅門僧であった。彼は教訓聖者として有名である。その教訓の一句に『智者や業者は老いない死なないと考えつつ活動せよ。然し、死の神は常に汝の髪の毛を握っていることを忘れるな』という、有名な言葉がある。新年と共に味うべき金言である。昭和四十年を迎えて私に取って忘れ難い明治四十年が想い出される。この年留学生として入印したからである。否それのみでない。明治三十七、八年の日露戦役の直後でその戦勝は世界を驚かせ、日本民族性を人類に示した輝きの時代であった。日露戦役が導火線となって印度第二革命の起ったことは有名な歴史である。印度では既にこの当時から乃木将軍や東郷元帥を神として崇敬した。昭和十六年に始った太平洋大戦は原爆で終戦となり日本は敗戦国として史上に残った。然し国民の平和的文化国家建設の大々的努力によって昭和四十年の今日は全亜細亜に冠たる文化国家となり、世界に恥じない文明国を築いた。ここに日本民族の特殊性がある。アメリカに原子爆弾を造らせたのも日本であり、その洗礼を受けたのも日本、そして世界に向って将来原爆の戦争を禁止せしめたのも日本である。この意味で日本は敗戦国だが世界を救っている。ここにまた日本民族性が表われている。 |
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