不滅の言葉 1964年12号
永遠の伴侶 部分
スワミ・ブラマーナンダの生涯(十)
スワミ・プラバーヴァナンダ
グルとしてのマハラージ(その二)
のちに、多年側近の侍者であった弟子のハリハラナンダを遇するマハラージの態度を見た時、私は前述の彼の言葉を思い出した。ハリハラナンダは師に頼りすぎるようになっていた。彼は自分の脚で立つことを学ぶ必要があった。そこでマハラージは機嫌を害ねたふりをして、南インドの或る寺の淋しい所で修業をさせるために彼を送り出した。数年の後マハラージはマドラスに滞在し、ハリハラナンダが彼を訪ねて来るように手配をした。彼が到着する筈の晩、私は一人でずっとマハラージのそばにいた。彼はまるで長年離れていた息子を待つ愛深い母親のように落ちつかなかった。遂にハリハラナンダが着いた。然し彼はマハラージがまだ怒っておられるのではないかと恐れ、気後れがして会見を翌朝まで延ばそうとした。事の真相を知る私は、直ちにマハラージに会うことを彼にすすめた。然しながら、ハリハラナンダが室に入って来た時にはマハラージはもはや彼の愛深い焦燥のいささかの気配も見せず、彼の弟子に静かに挨拶してよく勤めて居たかどうかを尋ねただけであった。
またある時、私がスリ・ラーマクリシュナの甥のラムラル・ダーダーの面前で叱られている最中に別の若い弟子が室に入って来た、マハラージは彼の方を向いて「そのめがねをかけるとあなたはケーシャブ・センの様にみえるね」とじょう談を言った。その弟子は私が叱られているのを見たものだから返事をしなかった。するとラムラル・ダーダーが彼の方に向いてこう言った。「君にはマハラージが君の前でこの人を叱っておられるわけが判りますか? 「母親は、嫁に教えるために娘に小言をいう」いう諺があるのですよ。」...................