不滅の言葉 1964年11号
「ヒンズー思想研究の手びき」その六 部分
ラージャ・ヨーガ
ニルヴェーダナンダ何ものをも信用することのできない人々がいる。彼等は触知できる結果以外のものによって物事を信じようとしない。一言で言えば、自然科学的な見解を持つ人々がこのグループに入るのである。そして今日そのような人々の数は次第にふえている。
そのような人々に対してラージャ・ヨーガはまさに適当である。それはいかなるドグマに盲従することも、いかなる神秘的儀式を行なうことも要求しない。それはただ、次第に高度になる一連の精神集中法を規定しているだけである。それらのコースは完全に合理的である。ムクティ(解脱)の目標は、心が完全に静かになった時に達せられる。
それは修行者が通過しなければならない八つの連続的な課程を規定しているのでアシュターンガ・ヨーガ(八つの部分から成るヨーガの意)として叙述されている。修行者はそれを姶めるに当っていかなる信仰も必要としない。その効能をためすつもりで課程を次々と試みて行くことさえできる。もし真剣な努力がなされるなら、予備的な課程でさえ短時日の間に新奇な経験を与えて初心者の心をぞくぞくとさせるであろう。
八つの課程
ヤマ、ニヤマ、アーサナ、プラーナーヤーマ、プラチャーハーラ、ダーラナー、ディヤーナ及びサマーディが八つの連続的な課程である。初めの二つは道徳的な浄化を目的とする。ヤマの内容は不殺害、誠実、不盗、克巳及びいかなる贈物をも受けないこと、である。ニヤマは清潔、満足、厳格、勉学及び神への自己放棄を意味する。これらの道徳的資産なしには如何なる霊的向上も不可能である。それ故、次の課程に進む前にヤマとニヤマに於いて十分な基礎が培われなくてはならない。..............