不滅の言葉 1964年11号
ラーマクリシュナの生涯(六)
七、バラモン修道女とヴィシュヌ派の聖者
一八六一年のある朝スリ・ラーマクリシュナは、ダクシネースワルの庭で花をつんでいる時に一そうの小舟が水浴場さしてやって来るのをみた。一人の中年の美しい遍歴修道女が長い乱れた髪をして舟から上った。四十才に近かったが彼女は年令よりもずっと若く見えた。スリ・ラーマクリシュナはフリダイを呼び、彼女を正面入口から彼の前まで案内するよう頼んだ。修道女はスリ・ラーマクリシュナに会うや否や驚きと喜びの涙を流し、優しい声でこう言った。「我が子よ、あなたはここにおられたのですね! 私は長い間あなたを探していました。そして今、みつけたのです」。「あなたはどうして私をお知りになったのですか、お母さん?」とスリ・ラーマクリシュナは尋ねた。「聖なる母のお恵みによって、私があなた方三人に逢うことになっているのを知ったのです。二人には既に東ベンガルで逢いました。そして今日あなたを見出しました。」彼女はまるで長いこと見失っていた宝物をやっと見出したかの様に感動して語るのであった。スリ・ラーマクリシュナも亦明らかに感動していた。
やがて彼女は自分のことを逐一ものがたった。ジェソール地方(ベンガル州)のバラモンの家に生れ、ヴィシュヌ派とタントラの文書に精通する彼女は、ヴィシュヌ派の格の高い信徒であり、熱烈な霊的修業によって素ばらしい悟道を得た、そのことが、自分の獲得したものすべてを伝授してその霊性開発の助けとなし得る適当な求道者を見出すことを彼女にうながしたのである。スリ・ラーマクリシュナは子供の様に彼女のすぐそばに坐り、ヨーゲンシュワリと呼ばれるこの遍歴修道女に胸襟を開いて彼の霊的修業のあらゆる出来事を物語った。彼は更に、自分の振舞いが一般の人々のそれと非常に違うために人々が自分を狂人とみなす、と話した。母らしい優しさに濫れて、彼女は彼をくり返し慰めた。..................