不滅の言葉 1964年10号
永遠の伴侶(部分)
スワミ・ブラマーナンダの生涯(八)
スワミ・プラバーヴァナンダ
僧団の長としてのマハラージ(その二)
外来のインド訪問者達は何れも、社会奉仕事業に於ける奉仕団の成功を高く評価している。然しながら、僧団の僧達にとってはこの種の成功は第二義的な重要性を持つものでしかあり得ない、マハラージは常にこの事を力説した。「人生の唯一の目的は神を知ることである、浄福の大海に深く身を沈めて不死の者となれ、知識と信仰を獲得し、然る後に人類に内在する神に奉仕せよ。働きは人生の目的ではない。無欲の働きは信仰獲得のための一つの手段である。冥想せよ、冥想せよ、そして内部に深く沈潜せよ。神のみが実在である、という事を知れ。少くともあなたの心の四分の三は神を思い続けるようにせよ。四分の一を奉仕のために割けばそれで充分である、働きつつ礼拝せよ。」
スワミジーの若い弟子の一人が、彼の放棄と奉仕の理想に鼓舞されて、病める人々を看り貧しい人々を助けることに自からを捧げた。彼の仕事はごくつつましやかな形から出発して大きな組織にまで成長した。長年の間、この弟子はラーマクリシュナ奉仕団管下最大の奉仕の家の長であった。然し、この仕事が彼にとって霊的生活よりも重要になりつつあることをマハラージが見た時、彼はその任を解いて彼を瞑想三昧の生活のできる環境に送った。
再びマハラージの言葉を引用すると、「そうだ、あなた方は働かなければならない、然し私はあなた方に霊的修練と冥想に献身することをすすめる。たとえ私が働けと言わなくても、あなた方の本性があなた方を働かせずにはおかないであろう、然し心に神の黙想をつづけさせることは難しい。だがあなた方は僧侶なのだから、働きがあなた方の人生の唯一の目的であってはならない。」
ある時、妻に死別した一人の百万長者が僧院に来て、自分は世を捨てて全財産をラーマクリシュナ奉仕団に寄附したいと申し出た。スワミ・プレマーナンダがこの事をマハラージに報告した。彼は手を組み合せて柔和な調子で「兄弟よ、世俗的な人はあなたの様な聖者に交わると自然に放棄の理想を鼓吹されます。それだからといって我々が俗的な人に逢ったために世俗的になるものでしようか?」と言ったマハラージは金を受け取ることを拒絶した。彼は洞察によって、自分の富に非常に執着しているこの長者が後にこの申し出を後悔するであろうことを知っていたのである。
同じ理由によって、彼はある不動産の寄進も断った、その決意を促した感情が一時的のものである事を知っていたから。彼は、奉仕団の事業は堅固な霊的基盤の上に建てられるのでなければ発展しない、という事を認識していたのである。....................