不滅の言葉 1964年9号
ラーマクリシュナの生涯(4)
5 聖なる母
スリ・ラーマクリシュナは彼の新しい持場に順応し、他の一切の事を忘れ果てた。ラームクマールはスリ・ラーマクリシュナが孤独を愛し世俗に無関心になって行くので当惑し、後に彼がその仕事をらくにわがものとすることができるようにカーリーの礼拝の複雑な手続きを彼に教えようと決心した。適当な手ほどきを受けずにシャクティつまりカーリーの礼拝を引き受ける事は当を得ていると思われないので、スリ・ラーマクリシュナは兄の忠告に従い、その信仰と豊かな経験とで有名なカルカッタのバラモン、ケナーラーム・バターチャーリヤから必要な手ほどきを受けた。聖なるマントラが耳もとで唱えられるや否や、スリ・ラーマクリシュナは宗教的な熱情に圧倒されて一声叫び深い集中に没入したので、師を非常に驚かせたということである。
この時以後、ラームクマールは時々弟に聖母の礼拝を引受けることを頼み、代りに彼自身がラーダーゴーヴィンダの聖壇で礼拝した。ラームクマールは今や年をとったので気分を変える為に家へ帰ろうと心に決めた。スリ・ラーマクリシュナはそこで常住カーリーの礼拝を託されることになった。しかし、ラームクマールは再びわが家を見ることのできない運命にあった、彼はカルカッタの北方数マイルの場所で最後の息をひきとったのである。彼の死は若い僧侶にとって大きな衝撃であり、また天啓であった、この事件はラーマクリシュナが世の中のうつろいやすさをはっきりと悟りつつあるその時に起ったのであった。そこで彼の精力のすべては、今や、真実であり不滅である何ものかを求めることに集中した。彼のまわりの者達があらゆる種類のくだらないことに時を浪費している間に、彼は身も細るほどの神に対する渇仰に昼も夜も燃えつづけた。.........................