不滅の言葉 1964年8号
シャンティ(平和について)
木村日記
毎会講演の始めに本協会の両聖者に捧ぐる第二の神歌は、婆伽婆多讃歌の第四章第八頌「正義を保護し邪義を撃滅し、正道を建設せんが為め吾は必要に応じて再現する。」という神の言葉である、婆伽婆多讃歌(バガヴアドギーター)はマハーバハーラタの一部分で、ビシュマ品第二十五章以降十七章に渡る神歌である、マハーバハーラタは印度建国の歴史即ち国史であり、この婆伽婆多讃歌は印度建国の精神を表わしたものである。西暦前千三百年に始めて「バハーラタ」という一大帝国が印度に建設された。マハーバハーラタ文学は建国の歴史即ち国史である。勿論この大文学の中には神話、伝説、宗教、哲学、倫理、実践、制度、教訓等に関する諸問題が建国に関連して述べられているが、その中心は建国の理念と国民に対する指導原理の指示にあるのである。従来東西の学者の多くはこのマハーバハーラタを叙事詩として、戦争譚として、又仰度の百科辞典として極めて軽く取扱っているが、それは大きな誤りである。建国以来印度の国名は「バハーラタ」である。インドというのは外国人がつけた名である。このバハーラタ帝国の建国を助けその理念即ち建国の精神を神の啓示として国民に教示した大偉人が聖雄スリクリシュナであった。彼が主張した智行合一論、即ち正しき智に従う行事は、「正しい智に従う無執着の努力」である。印度古来の幾多の聖者偉人は無執着の努力家であった。否世界の聖者偉人も無執着の努力家である。この無執着の努力という偉大なる真理を世界の人類に示した偉人はクリシュナであった、無執着の努力者として仏陀もガンヂーも、ラーマクリシュナも、ヴィヴェーカーナンダも「正義の保護と邪義の撃滅の為め、また正道の建設の為め必要に応じて再現した」偉人である。真の家庭の建設者、真の社会の建設者、真の国家の建設者、真の世界の建設者はこの無執着の努力者以外にないことを知らねばならぬ。